少し前の話になりますが、私たち4年生にとって最後の全日本選手権がおわりました。
最後の、という実感はまだ何事につけても感じません。
きっとどのイベントをとっても「最後の」になるはずだけれども、相変わらずの自転車操業でタスクに追われていると、感傷に浸る間もないのかもしれません(笑)
次は最後のインカレです。
人生最後のインカレです。
引退試合には変わりないけれど、私たちの人生にとって最後のインカレなのです。
この夏が過ぎたら、もう二度と私たちのインカレは来ない。
やり直すこともできない。
学生としてインカレに臨めるのは、今年が最後なんです。
切迫したフレーズに辟易する人や、
ポジティブにいこう!と言いたくなる人もいるかもしれません。
もちろん言葉や行動にそんなギスギスな雰囲気を持ち込みたいわけではありません。
だけど、私はやっぱりこの感覚を大切にしたいと思います。
去年のインカレ。
多くのクルーが勝ち上がっていくことに恐怖感を覚えました。
どうかこれ以上進まないでくれ。
そうとすら思った。
勝っているのに、悔しかった。
悔しくて涙が止まらなかった。
なぜ、自分たちの代じゃないのか。
喜び感涙にむせぶ当時の4年生を前に、そんなどす黒い感情でいっぱいになった。
素直に勝利を喜べない自分に嫌悪を抱いた。
強いチームであり続けることは、ひとつひとつの代が強くなっていくことによって形作られていきます。
代ごとの積み重ねで「常強一橋」が作られてきたはずです。
ホームページの戦績の欄を見れば、
2018シーズン インカレ… 全日本… 軽量級…
2017シーズン インカレ… 全日本…
2016シーズン インカレ…
どんどん下に続いていきます。
羅列されていく戦績は、単純に比較することができるようになっているけれども、
その一つ一つのシーズンは、必ず誰かの人生最後のインカレ・全日本なのです。
「強い」といわれる代があって、そのあとまた強くあらねば、と引き継ぐ代があって。
敗コロした代があって、そのあとどうにか這い上がろうとする代があって。
どの代になるかは誰も選べません。
どんな代にしていくかはめぐり合わせた同期同士で作り上げていくものです。
そして必ず全員に等しく「最後の」レースが訪れます。
「常強一橋」の名のもとに、どれだけの先輩方がその重圧に押しつぶされそうになりながら最後のレースを迎えてきたのでしょうか。
戦々恐々ともいえるこの大きな130余年の流れを、マネージャーの私ですら恐ろしく感じるというのに、いったい選手たちはどんな気持ちで受け止めているのでしょうか。
なんだかちょっと禍々しいような文章になってしまいました。
私個人がその性分から重くとらえているだけで、別にこれがいい!と言いたいわけではもちろんありません。
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私の尊敬するある二人の先輩は、全くタイプの違う方々でしたが、二人とも同じことを言っていました。
最後の最後まで、信じ続けること。
今シーズンの私の抱負の一部です。
選手のことも、マネージャーのことも、自分のことも。
信じつくすことはすごく難しいです。
信じて裏切られて傷つくのが怖いから、私は信じることが苦手です。
でも「勝ちたい」という思いは、「勝つ」と信じるところからはじまるものです。
私はこのチームで勝ちたいです。
最後まで「勝ち」を信じてシーズンを終えたい。
どうかこの思いが、色褪せぬうちにこの夏を駆け抜けたい。
信じずに勝利して、喜べないような人間で終わりたくない。
みんなを信じて、勝って、心の底から喜べる熱い夏を過ごしたいと思います。
4年S組 後藤望